Cactus to Clouds
“行きたい”を支える
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どんなところ?
何がすごい?
Cactus to Clouds は、世界で最もハードな日帰りハイキングとして知られる、アメリカでは有名な登山コースです。よってこのコースの最大の魅力もまた、世界最高の難易度への「挑戦」なのです。
なおハードと言っても、それは体力的な意味でです。つまり高い登山技術や専門的な装備は必要ありません。この挑戦への手軽さが、人気の理由の一つでもあります。
加えて砂漠地帯である Coachella Valley と、高山地帯である標高3,302 mの Mt. San Jacinto [サンジャシント山]の、両方の自然環境を同時に体験できるという点でもユニークです。
本当に世界最難関?
この登山コースが世界で最もハードな日帰りハイキングとして知られる理由は、1973年以来続く権威あるアウトドア雑誌「Backpacker」を含む複数の書籍でそのように評価されたからです。
ただ、世界一を示す確たる数値があるわけではありません。またこういうのはさまざまな要素のどこを切り取って見るかで、その評価が左右されるものかと思います。
とはいえ約3,150 mの標高差を、頂上までのわずか約24 kmで登り切ってしまう(コース総距離は32.7 km)、非常に過酷な登山であることには変わりません。
アメリカのどこ?
カリフォルニア州の南部にあるサンジャシント山州立公園にある登山コースです。
*近くには
大都市ロサンゼルスから車の圏内にあり、東に行くと面白い観光スポットがいくつかあるジョシュア・ツリー国立公園があります。なのでそれなりに都合の良い場所にあると思います。
シーズン
*おすすめ|5月、9月下旬〜10月上旬
一年中行うことのできる登山ですが、気温が穏やかなこの時期が理想的です。特に初めての挑戦の場合は、無理しないためにもこの時期をオススメします。
*11月〜4月
冬は雪に対応できる装備が必要になります。また本格的な積雪によって進みずらいと、体力的な難易度はさらに高まります。
*6月〜9月
極度の暑さのため、国立公園局が夏季の登山を推奨していません。
手続きと料金
許可証の申込み
この登山コースには許可証の申込みが必要です。ただ許可証と言っても無料の、当日に申込む登山届けみたいなものです。
申込み場所は、コース中盤にある Long Valley Ranger Station です。
帰りのロープウェイ
登山自体は無料です。ただ縦走コースのため、終点から始点に戻るのに、ロープウェイを使うのが一般的です。(徒歩で来た道を戻るなら話は別ですが…。)
ロープウェイを使う際に、下記2点の料金を準備しましょう。ロープウェイの詳細が気になる人は、こちらをどうぞ。
1/2ロープウェイの片道料金
片道の運賃は明確に定められていませんが、おそよUS$15(往復料金US$30.95の半額程度)です。切符は駅のギフトショップで現金またはカードで購入できます。
2/2下山後の移動
ロープウェイで下山後、アプリを使ってタクシーなどの配車をするか、駅員に配車をお願いするのが一般的です。なのでそのための交通費が必要です。
アクセス
交通手段
車で行くことが現実的な交通手段です。ここに限らずアウトドアの名所、また良くも悪くも車社会のアメリカでは、車が唯一の交通手段となるケースが多いです。
駐車場
Palm Springs Art Museum [パームスプリングス美術館]のそばの道路「North Museum Dr.」または「North Belardo Rd.」に路上駐車することが一般的です。
この道路には駐車スペースが設けられており、無料で駐車することができます。
※注意
美術館の専用駐車場や付近にあるその他の駐車場には、駐車しないように注意しましょう。駐車違反としてレッカー移動されます。
トレイル入口
美術館のすぐ近くにある Skyline Trailhead がトレイル入口になります。
重要施設
Long Valley Ranger Station
Long Valley Ranger Station は登山コースの中盤にある建物です。ここで許可証の申込み用紙に記入して提出します。
またここは水分補給ができる数少ない場所でもあります。ただしここの水道水は、ろ過することが推奨されています。
ロープウェイ
下山時は Palm Springs Aerial Tramway を利用します。ここではレストランや売店もあるため、少し寄り道になりますが、営業している場合は途中で食料補給ができる場所でもあります。
コース
コース概要
1/4運動センス
雪や氷がある冬季でなければ、高い登山技術・専門的な知識・冬山装備などを必要としない、非テクニカルなコースです。
2/4持久力
技術面では易しくとも、総距離と標高差によって、“とてつもなく”高い持久力が求められます。世界最難関に数えられるだけあり、死亡例があるほどの危険性もあります。
必要以上に不安になる必要はありません。項目「注意点」の各点を確認し、油断せず、しっかりとした体力を身につけ、引き返す勇気も持って挑戦しましょう。
3/4水場
約16 km地点の Long Valley Ranger Station には水道水があります。またその手前で、往復約1 kmを追加してロープウェイの駅に向かえば売店もあります。
なお Long Valley Ranger Station の水道水は、消毒副産物のハロ酢酸の含有量が基準値を超えています。そのような水を長年にわたり飲み続けると、がんのリスクが高まる可能性があるとされます。
心配するほどではないと思いますが、気になる方は水をろ過することが推奨されます。
4/4ナビゲーション
約12 km地点までは砂漠地帯が続き、目印や足跡があるものの、進む方向が分かりずらい場合があります。GPS機器や、googleマップなどのオフラインマップをインストールしておくと便利です。
また日の上らない早朝などに出発する予定なら、参考になるので、項目「注意点」の「夜道」をご確認ください。
コース詳細
砂漠地帯
約12 km地点までは砂漠地帯が続きます。目印や足跡があるものの、特に夜間は、進む方向が分かりずらい場合があります。また日が出ると、日陰もなく、体力の消耗はさらに激しくなります。
またコース全体を通して、始点から山頂までほぼ一定の勾配が続きます。つまり序盤の段階で勾配をキツく感じるのであれば、潔く引き返すことをオススメします。
Long Valley Ranger Station にて
砂漠地帯を抜けると、木々のある地帯に入ります。ここから15.7 km地点の Long Valley Ranger Station まで、勾配がややキツくなりますが、木陰があり、標高が高くなるにつれて涼しくなります。
許可証の記入・提出を忘れず。
山頂へ
Long Valley Ranger Station まで来れば、標識も多く、トレイルもはっきりしているので迷う心配はないです。山頂までの約9 kmの道のりも、勾配がわずかに緩やかになるため、登りやすくなります。
注意点
大事だから読んで
この登山は、目に見えて分かりやすい危険がないだけで、十分に危ない登山です。インターネットなどで見かけると、どうしてもその過酷さがリアルに伝わってこない部分があると思います。
ただ死亡例もあり、誤った選択や不運、道に迷うことは命に関わります。安全で楽しい登山をするためには、これらの危険性を理解して備えることが大事です。
この章では、まさしくこの登山の危険性を少しでも理解してもらい、それに備えるためのアドバイスをお伝えします。
他の山との比較
日本の最高峰「富士山」と、本サイトでも取り上げたアメリカ合衆国本土の最高峰「 Mount Whitney 」の登山コース概要が上記の通りです。
富士山と比べると、総距離と標高差がほぼ倍です。
最低限の目安として、余裕をもって(願わくば1日で2回)、富士山を登頂できるくらいの体力は身につけたほうがいいでしょう。
Rescue1と2
この登山は基本的に常にハードなのですが、特に日陰のない砂漠地帯の危険性が高いです。なぜなら標高がまだ低いので気温が高く、進もうにも休もうにも、日に照らされて体力を消耗するからです。
それもあってか Rescue1 と Rescue2 と呼ばれる、緊急時のための水と食料が保管された箱がコースに設置されています。それぞれ3.6 km地点と10.7 km地点にあります。
もし緊急時に保管されている食料を利用した場合は、それらを管理しているCoachella Valley Hiking Clubにその旨を伝えましょう。
引き返しライン
3.6 km地点にある Rescue1 が、登山を続けるか引き返すかの判断をするちょうどいいラインです。逆にこれより先に進むなら、何があってもロープウェイまで登り切る覚悟を決めましょう。
なぜならここ以降で引き返す場合はたとえ下山といえど、気温は上がり、太陽にさらされ、限界に近づき砂漠地帯で迷うなど、さらに危険な状況に陥る可能性があるからです。
*判断しやすい
この登山は、始点から山頂までほぼ一定の勾配が続きます。言い換えれば、ある程度進んだところで自分のペースがわかり、逆算して登頂できるかの論理的な判断がしやすいです。
夜道
ただでさえ迷いやすい序盤の砂漠地帯ですが、行動時間の逆算や日差しのことを踏まえると、早朝の暗闇の中で登山を開始することになると思います。
その際は次の点を意識しながら進んでいきましょう。
1/4さまざまなサインに気を配る
地元の人が岩などに白い点や矢印などの目印をつけたり、誤った道をさえぎるために石を積んだりしてくれています。
2/4立ち止まる
もしトレイルが途切れたり、草木が茂り始めたりしたら、まずは立ち止まり地図を確認しましょう。必要ならば引き返し、見落としたかもしれない曲がり角などを探しましょう。
またわずかではありますが、茂みを通過する箇所も数回あるので注意が必要です。
3/4動物に配慮した行動
暖かい季節には、夜間に蛇の活動が活発化します。またこの地帯にはサソリも生息しています。
とはいえ突発的な動きをしなければまず大丈夫です。慎重に注意を払いながら行動しましょう。
4/4予行練習
夜間に登山をする場合は、前日の明るい時間帯などに、ベンチエリア(1.5 km地点)や Rescue1 (3.6 km地点)まで登って予行練習してもいいかもしれません。
準備・持ち物
以下の項目は特筆してお伝えしたい準備・持ち物の情報です。それ以外に関しては天候や登山に適した、個人のスタイルに合わせての準備で問題ないです。
1/5ヘッドライト
早朝の夜間に出発することが理想的です。なぜなら長時間を要する登山であり、気温が上がり切る前に砂漠地帯を抜けたいからです。
ヘッドライトが理想ですが、何かしらライトの準備を忘れずに。バッテリーを確認することも。
2/5水分
5.5リットルの水を準備することが推奨されています。
15.7 km地点の Long Valley Ranger Station で水分補給をする場合は、3リットルの水があればいいと思います。ただしその場合、できれば水をろ過できるフィルターがあるのが理想的です。
3/5日差し対策
序盤は砂漠地帯、後半は標高が高く紫外線が強いです。帽子、日焼け止め、サングラス、明るい色の服装などの検討をおすすめします。
4/5防寒着
夏季の暑い地上にいると忘れがちですが、山頂付近は寒いです。季節や天気に合わせて、適切な防寒着も忘れずに。
5/5地図
特に前半の砂漠地帯は迷う余地があり、暗い中での行動が予想されます。オフラインマップやGPS機器などの準備をするとスムーズな登山になります。
筆者コメント
最後まで読んでいただきありがとうございます。
乗り越えないといけないハードルが多く、そもそも海外での冒険に不安も少なくないと思います。順を追った解説で、少しでも負担を取り除けたのなら嬉しいです。
慣れ親しんだ日常と違い、不確定というスパイスが多い分、良い事も挑戦的な事もたくさんあると思います。それらがあなたの思い出を豊かに彩ってくれることを、心より願っております。