Mt. Temple
“行きたい”を支える
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ここでは必要な全ての情報を、
時系列的な流れで、
効率的にわかりやすく説明します。
項目を順に追うだけで、
計画作業が超簡単に!
どんなところ?
何がすごい?
Mount Temple [テンプル山]は、知る人にとっては登るのを夢見るような、バンフ国立公園の中で最も挑戦的な登山です。
人気の理由の一つは、公園内だけでなくアルバータ州の山々の中で、専門的な知識やスキルがなくても登れる最高峰だからです。
さらに挑戦的なだけにとどまらず、美しいことで有名なバンフ国立公園だけあって景色も素晴らしいです。道中はもちろん、山頂から見える山岳風景と青々とした氷河湖は格別です。
スイスでの登山と引け合いに出されるほどのこの登山に、ぜひ挑戦してみてください。
カナダのどこ?
アルバータ州の南西部、バンフ国立公園にテンプル山はあります。
バンフ国立公園はカナダ初の国立公園であり、近隣の国立公園とともに世界遺産にも登録されています。そして北米において、年間入園者数が上位の大変人気のある公園です。
シーズン
専門的な装備や経験がない人であれば、例年7月〜9月がシーズンです。
なぜならテンプル山はほぼ一年を通して雪に覆われており、一般の人がこれを登山するのは難しいからです。そのため雪の無い夏季が唯一のチャンスになります。
予約必須|アクセス
概要|まず読んで
結論|方法①〜③
バス停最寄りには無料かつ大きな駐車場がある。
+C$11(バス)
乗車には、バス停最寄りの有料駐車場の1日駐車券が必要。
有料駐車場が埋まると非常に困ってしまうリスキーな選択肢。
国立公園まで
制約が多くてややこしいのは、トレイル入口までアクセス方法だけです。
逆に人気のバンフ国立公園、あるいはその最寄り町バンフまでの移動手段は、ツアー・シャトルサービス・タクシー・レンタカーなど何通りもあります。
あなたの旅に最適な手段を準備しましょう。
園内シャトルバス
概要
予約は行きの席を確保するためであり、帰りは自由。
予約は行きの席を確保するためであり、帰りは自由。
1/3Park and Ride から
公園の基本方針として来園者には、バス停 Lake Louise Park and Ride に駐車し、そこからシャトルバスを利用することを促しています。
言い換えれば、Park and Ride 以外のバス停が最初の乗車場所となるのを防ごうとしています。これは園内の駐車場に限りがあることや、交通混雑を抑えるためです。
2/3例外的なバス線 Alpine Start
前述の基本方針から唯一、バス線 Alpine Start が例外的で、Lake Louise Lakeshore に駐車してそこから出発できます。
ただ後の項目「方法②」にて詳細は説明しますが、言葉通りいろいろと “例外的” です。もともと、早朝に活動を開始したい登山家に向けたバス線であり、一般の人に向けたものではないのです。
3/3予約と乗車券について
乗車券に予約が必要なのは、Park and Ride から乗車する最初の便の席を確保するためです。
一度乗車券を使って入園すれば、その後はその乗車券で、2つの湖を繋げるバスや帰りの便を自由に使えます。
料金
1/2予約手数料
C$3を、人数に関わらず予約手数料として支払います。支払い後の返金はできません。
2/2乗車券料金
1人につきC$8が基本料金です。
方法①
説明するまでもないかもしれませんが、基本にのっとり、バス停 Lake Louise Park and Ride からシャトルバスに乗車するのが方法①です。
バス線 Moraine Lake を予約できれば、直通でトレイル入口に向かえるので一番シンプルです。
ただ、バス線 Lake Louise Lakeshore に乗って、その後バス線 Lake Connector に乗り換えてもトレイル入口に向かえます。乗り換えによる時間ロスも30分程度です。
方法②
5:00 AM
シャトルバスを利用する例外的な方法として、バス停 Lake Louise Lakeshore 付近に駐車して、バス線 Alpine Start に乗る方法②があります。
ただこの手段には下記3つの注意点があります。
1/3条件と料金
シャトルバスに乗車するには、バス停 Lake Louise Lakeshore 付近にある有料駐車場の1日駐車券が必要です。つまり1日駐車券の料金、C$36.75を追加で支払うことも意味します。
2/3早朝
日がまだ昇らない時間に、1日2本しか運行していません。また駐車場で一晩を過ごすことが禁止されているため、バスよりもさらに早い時間から活動することを意味します。
3/3有料駐車場が小さい
有料駐車場は小さく、シーズン中は日の出前から満車になる場合がほとんどです。この点は、そもそもバスに乗るため早くから行動しているので基本的には大丈夫だと思われます。
ただもし満車になっていたら大変です。空くのを待つ停車スペースもないので引き返すことしかできず、全ての計画が台無しになるリスクがあります。
いつ予約する?
シャトルバスの予約には、上記2つの時期があります。またいずれの予約も先着順です。当然ながら受付開始のタイミングが、予約できる可能性が一番高いです。
予約しよう
1/4公式サイト
政府機関によって運営される公式サイト「canada.ca」にて、予約の受付が行われます。(「Banff Shuttle Reservation」と検索しても見つかります。)
2/4絞り込む
❶ 4つのタブのうち「Day Use」を選びます。
❷ 選択肢のうち「Shuttle to Lake Louise and Moraine Lake」を選びます。
❸ 利用日と人数を選んで検索します。
❹ 表示が切り替わり、地図上(あるいはリスト)から「Shuttle」を選びます。
❺ 希望のバス線を選びます。(バス線によっては朝昼夕と3つに分割されています。)
3/4希望の枠を選ぶ
前のステップで選択肢を絞り込むと、最後に各時間帯の、それぞれ先行予約と直前予約の空き状況が表示されます。空いている予約枠を選びましょう。
4/4予約する
案内に従いながら、アカウント作成や支払いを済ませます。
公園公認バス
方法③
往復プランの「Super Pass」にすると、園内シャトルバスのバス線 Lake Connector に乗車でき、Moraine Lake に行ける。逆に片道プランだと Moraine Lake にいけない。
登山シーズンと運行時期がぎりぎり重なっているが、山の状況に注意。
往復プランしかなく、園内シャトルバスにも乗れない。
園内シャトルバスを利用するにも公園までの移動手段が特にない場合は、方法③として公園公認バス「Roam Public Transit」がオススメです。
アクセスが豊富な最寄り町バンフから出発しており、混雑する公園での駐車の心配がいらない便利な交通サービスです。
料金
1/3予約手数料
C$3を、人数に関わらず予約手数料として支払います。支払い後の返金はできません。
2/3Route 8X
往復プラン「Super Pass」は、1人につきC$25です。(片道だとC$10ですが、それだと園内シャトルバスに乗れず、テンプル山のトレイル入口に行けません。)
3/3Route 10
往復プランしかなく、1人につきC$20です。(テンプル山のトレイル入口には行けますが、園内シャトルバスには乗れないので、バンフ国立公園で有名な湖 Lake Louise には行けません。)
いつ予約する?
*Route 8X
例年6月に、夏季の予約の受付が開かれます。
*Route 10
9月中旬の運行時期が間近になると、予約の受付が開かれます。
予約しよう
1/2公式サイト
公式サイト「roamtransit.com」にて、予約の受付が行われます。(「Banff Roam Transit Reservation」と検索しても見つかります。)
2/2予約する
案内に従いながら、アカウント作成や支払いを済ませます。
全体の料金
1/3入園料
当記事の読者なら、次のいずれかになるでしょう。(一応、他の場合も気になる人は、詳細はこちらです。)
2/3園内シャトルバス
C$3(予約手数料)と、1人につきC$8(乗車券料金)
3/3公園公認バス
C$3(予約手数料)と、1人につきC$25(Route 8X)あるいはC$20(Route 10)
コース
コース概要
1/4危ない登山
専門的な知識やスキルがない人でも登れて、おかげで毎年多くの人がこの登山に挑戦しているのが実情です。一方で、死亡例が多数あるほど、決して油断のできない登山でもあります。
その主な要因がコース終盤です。難しいナビゲーション、落ちたら無事では済まない急斜面や稜線、手を使いながら岩をよじ登るがれ場(岩屑がガラガラと積み重なった場所。英:Scree)が続きます。
とはいえ必要以上に不安になる必要はありません。続く章「注意点」の各点を確認し、油断せず、しっかりと備え、引き返す勇気も持って挑戦しましょう。
2/4運動センス・持久力
足場が不安定ながれ場、危ない急斜面や稜線において、着実な足運びができる運動センスが必要です。
加えて高い持久力も必要です。なぜなら長距離な高山登山であり、運動センスが必要になってくるのが、疲れてくるコース終盤だからです。
3/4ナビゲーション
章「注意点」でも説明する通り、コース終盤ではトレイルを間違いやすく、間違えると非常に危ないことに場合が多いです。その点については注意しましょう。
とはいえ基本的には、コース上には標識や目印が充実しており、足跡によって進むべきトレイルもはっきりしています。
4/4装備
ヘルメットは、落石や滑落の可能性があるので必須と言っていいでしょう。またシーズン中でも山頂付近では雪が積もっている場合があるので、簡易的なアイゼンがあると安心です。
ただもし持ってなくても、どちらも最寄り町などでレンタルできるので、この点はさほど問題にならないです。
注意点
大事だから読んで
多くの人が軽装で登頂する一方で、ロープなどを使う人もいる程度に危ない登山です。ただインターネットなどで見かけると、どうしても難しさがリアルに伝わってこない部分があると思います。
死亡例もあり、誤った選択や不運、道に迷うことは命に関わります。安全で楽しい登山をするためには、これらの危険性を理解して備えることが大事です。
この章では、まさしくこの登山の危険性を少しでも理解してもらい、それに備えるためのアドバイスをお伝えします。
コース難所
5.5 km地点にある、テンプル山と隣のピナクル山の間にある峠、Sentinel Pass [センチネル峠]以降からこの登山は難易度が跳ね上がります。
地形の特徴を覚えて、慎重に、引き返す勇気も持って挑戦しましょう。
画像の③がれ場を登る
Sentinel Pass を過ぎるとすぐに、トレイルはがれ場(岩屑がガラガラと積み重なった場所。英:Scree)になります。不安定な足場と上からの落石に注意しながら登りましょう。
画像の⑤最難関
テンプル山の上部は地層のように岩肌の色が違い、画像の④と⑤のように明るいグレー色の層があります。そして6.3 km地点にある画像の⑤を、Second Grey Rock Band と呼びます。
ここがこの登山で1番の難所です。ここでは5m前後の岩をよじ登らないといけなく、ここで落ちたら致命的です。
二つのガリー(水の流れによって地表面が削られてできた狭い溝。英:Gully)に惑わされず、青・黄色の四角い目印のある正しいルートを選んでください。
なお、ロッククライミングにおいては登ることより、下りることの方が難易度が高いです。この難所でも同様で、登れたとしても下りられないと思ったのなら勇気を持って引き返しましょう。
画像の④と⑥下山時
登りの際は問題になりませんが、下山の際は画像の④と⑥のトレイルに注意が必要です。具体的にはスタート地点から6.2 km地点にあるのが画像の④、6.6 km地点にあるのが画像の⑥です。
一見して分かれ道のようになっていますが、来た道を戻ることを意識しながら正しいトレイルを選びましょう。
富士山との比較
参考までに、日本の最高峰である富士山のコース概要が上記の通りです。数値的には富士山とほとんど同等程度の登山であることがわかります。
最低限の目安として、富士山を日帰りで登頂可能なくらいの、高い体力は必ず身につけましょう。
一般的な注意点
1/5滑落
滑落の可能性が高い場所が多い登山です。より良い景色や撮影場所を求めたりして、不用意に足場の端に行かないようにしましょう。
特に雪がある場所では、見分けがつきにくい雪庇(尾根や崖から、雪がせり出すように積もる状態)の先へ進まないよう注意しましょう。
2/5早め早めな行動
山では、午後になると天気が荒れる傾向が顕著です。ただでさえ1日がかりの挑戦的な登山になるので、早め早めの行動を心がけましょう。
3/5落石
落石が、この登山での事故の主な原因です。上にいる他の登山者の落石に注意し、自分自身が落石を起こさないよう慎重に進みましょう。
また落石を起こしてしまったら「Rock!」と叫んで注意喚起しましょう。
4/5熊
Sentinel Pass [センチネル峠]まではグリズリーの生息地であり、集団行動を推奨・義務付ける規則が発令される場合があります。その場合は、他の登山者と同行するなどしましょう。
5/5来た道を下山
登山したのと同じ道を下山しましょう。下りるのがより簡単・近そうなルートに行かないでください。
またそのようなルートをあえて取る人がいるかもしれませんが、惑わされないように。
準備・持ち物
以下の項目は特筆してお伝えしたい準備・持ち物の情報です。それ以外に関しては天候や登山に適した、個人のスタイルに合わせての準備で問題ないです。
1/4トレイル入口までの予約
トレイル入口までのアクセスを確保しましょう。
2/4ヘルメット
落石の起きやすいく、滑落の危険性も高いこの登山では、必須と言っても過言ではありません。最寄り町でレンタルもできます。
3/4雪山装備
時期によってはコースの所々に雪があるかもしれません。最新状況を確認するとともに、多少の雪に対応できる簡易装備があると安心です。
4/4防寒・悪天候を想定した服装
夏でも山頂ではかなり涼しく、風も強いです。また予報では良くても、山の天気は不安定で変わりやすいです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
乗り越えないといけないハードルが多く、そもそも海外での冒険に不安も少なくないと思います。順を追った解説で、少しでも負担を取り除けたのなら嬉しいです。
慣れ親しんだ日常と違い、不確定というスパイスが多い分、良い事も挑戦的な事もたくさんあると思います。それらがあなたの思い出を豊かに彩ってくれることを、心より願っております。