South Kaibab to Bright Angel
“行きたい”を支える
勝手を知らない海外、
何がワカラナイかが分からない
自分に合っているか不安、
不安だからこそ綿密に調べたい、
けど1からやるの大変…
流れでわかる、
整う
ここでは必要な全ての情報を、
時系列的な流れで、
効率的にわかりやすく説明します。
項目を順に追うだけで、
計画作業が超簡単に!
どんなところ?
何がすごい?
始まりは7000万年前の地殻変動、それから途方もない年月を経てできた壮大な渓谷、Grand Canyon 。
South Kaibab Trail to Bright Angel Trail とは、グランドキャニオンの渓谷の南壁から谷底まで下り、南壁の別の場所にまた登って戻ってくるコースです。
このコースはアメリカ人への自慢話となるくらい体力的にチャレンジングなコースとして知られる一方で、技術的には高いレベルを必要としません。
何より、この壮大な「渓谷」の全てを本当の意味で体感するには、これ以上のコースはないでしょう。(Rim to Rim 以外には…。)
Rim to Rimとの違い
“Rim”とは「物体の上端または外縁」という意味であり、直訳すると“Rim to Rim”とは「縁から縁へ」という意味になります。
グランドキャニオンにはRim to Rim という有名なコースがあり、谷底を中継してNorth Rim [北壁]とSouth Rim [南壁]を繋げるコースのことを指します。
ただその名称の意味からすると、South Kaibab Trail to Bright Angel Trail との間に意義的な差はありません。なので2つのコースが混同されることも珍しくないのです。
とはいえ正式なRim to Rimの方が以下の点において、South Kaibab Trail to Bright Angel Trailよりも難易度が高いです。
1/3総距離
総距離が7〜11kmほど、さらに長い。
2/3交通手段の手配
縦走コースであり、道路だと非常に離れている北壁と南壁を繋げる交通手段を確保しないといけない。
3/3シーズン
雪による道路規制で、北壁にアクセスできない時期がある。
アメリカのどこ?
アリゾナ州の北部。アメリカ屈指の名所として知られる、グランドキャニオン国立公園の中にあるハイキングコースです。
*近くには
北上するとAngels Landing やThe Narrows があるザイオン国立公園、The Wave といった超有名な自然系観光地がわんさかあります。
シーズン
*おすすめ|春と秋
一年中行うことのできるハイキングですが、気温が穏やかな秋か春が、理想的な季節です。
*夏
夏はもはや異常なほど、肌が痛く感じるほど、とにかく暑いです。
日陰になるような場所がほとんどなく、暑い気温と強い日差しが体力はさらに削ります。加えて、より多い水を運ぶ必要があるため、その重さにも体力が削られます。
またスタート地点と谷底とでは、谷底の方が約15℃も暑いことを覚えておきましょう。
*冬
冬は雪に対応できる装備が必要になります。また10月中旬〜5月頃の期間はコースにある水道が止まるため、1日分の水を持ち運ぶ必要があります。
料金
グランドキャニオン国立公園の入園料を支払えばハイキングできます。
当記事の読者なら、次のいずれかになるでしょう。(一応、他の場合も気になる人は、詳細はこちらです。)
アクセス
国立公園まで
ザイオン国立公園までの移動手段は、公共バス・ツアー・シャトルサービス・タクシー・レンタカーなど何通りもあります。あなたの旅に最適な手段を準備しましょう。
トレイル入口
South Kaibab Trailhead がトレイル入口になります。
なおトレイル入口までの道路は一般車の通行が禁止されており、園内シャトルバスを乗る必要があります。そしてオレンジ色の路線、Kaibab Rim Route がトレイル入口に停まります。
無料シャトルバス
グランドキャニオン国立公園には、公園内外に複数のシャトルバスがあります。そのうち今回のハイキングで使うのは、コースの始点と終点を繋ぐ、上記2つの路線です。
表の参考時間は例年のシーズン中(5月下旬〜9月初旬)のものですが、基本的に早朝から始発があります。細かな計画を立てたい人などは、最新情報を公式サイトで確認しましょう。
コース
コース概要
1/3シンプルなコース
このコースは南壁のそれぞれ違う場所から、同一の谷底へ向かう2つのコース、South Kaibab Trail と Bright Angel Trail を一つに繋げたコースです。
足場は安定しており、標識もしっかり整備されています。なので壮大な渓谷の景色を堪能しながら、淡々と歩みを進めていくだけのシンプルなコースです。
2/3水場
谷底を中間に繋がった2つのコースのうち、西側のブライトエンジェル・トレイルには水分補給できる水道が複数あります。なお、10月中旬〜5月頃の期間はそれらの水道が止まります。
逆に東側のサウスカイバブ・トレイルには水場がありません。
3/3持久力
2つの理由で非常に高い持久力が求められます。
1つ目はシンプルで、数字からも分かるとおり、総距離と標高差がすごいです。想像しずらい場合は、項目「富士山との比較」を。
逆に2つ目は特殊な理由で、「下りてから登る」という特性によって、数字以上の難しさがあります。詳しくは項目「登山と正反対」を。
どっちの順路?
今回のハイキングを構成する2つのコースの概要は上の表の通りです。
縦走コースなのでどっちの方向からも行うことができますが、South Kaibab Trail を下って、Bright Angel Trail を登ることが一般的です。この順路が一般的なのには次の理由があります。
1/3標高差の違い
サウスカイバブ・トレイルを下ることによって、ブライトエンジェル・トレイルとの差分122mを登らずに済みます。小さいように思えますが、これだけでもかなり違ってきます。
2/3緩やかな登り
ブライトエンジェル・トレイルの登りは、サウスカイバブ・トレイルより低い標高差と長い距離によって、より緩やかな登りです。
3/3水場
サウスカイバブ・トレイルには水場がありません。一方で、ブライトエンジェル・トレイルには要所に休憩できる場所と水道水の通った水場があります。
つまり重い水を持ち運ぶことや、補給するタイミングを考えると、戦略的にブライトエンジェル・トレイルを後半の登りにした方がいいのです。
富士山との比較
参考までに、日本の最高峰である富士山のコース概要が上記の通りです。
コース全体の標高差は大体同じですが、総距離が10 km強も富士山より長いことがわかります。また標高自体が富士山と比べて高くないため、特に夏は非常に気温が高く、消耗が激しくなります。
最低限の目安として、余裕をもって富士山を登頂できるくらいの体力は身につけたほうがいいでしょう。
登山と正反対
このハイキングは一般的な登山と違い、渓谷を「下りて」から「登り」ます。一見、問題なさそうに見えますが、実はやっかいな落し穴が2つあります。
1/2引き返す判断
登山であれば最初に、体力的に難しい「登り」があります。そのため大変さを実感でき、目標までの逆算や引き返す判断を現実的に行うことができます。
一方で「下り」が最初にあると、サクサク簡単に下りられてしまいます。すると下りた分を「登る」ことをイメージするのが難しく、目標までの逆算が楽観的になりがちで、引き返す判断が鈍ります。
「登り」は「下り」の約2倍の時間がかかることを念頭に、体力ではなく経過した時間をもとに、引き返す判断を行いましょう。
2/2下りで消費される体力
渓谷を下りきり、谷底から登り始めて少し経った頃にやっと、このコースの山場が始まります。
しかしこの時点ですでに、相当の体力を消耗しています。つまり消耗して万全ではない体力を振り絞りながら、コースの難所に挑まなければならないのです。
日帰り
国立公園局はこのコースを日帰りで行うことを推奨していません。言うまでもなく、高い体力が求められるためです。代わりに、許可証を取って谷底のキャンプ地で1泊することを推奨しています。
とはいえ、多くの人が日帰りで行っているのが事実です。体力に自信があるのであれば、一般の人でも十分に挑戦可能な難易度です。
注意点
1/2複数日でのハイキング
日帰りではなく複数日でのハイキングを計画している場合、許可証の取得が必要です。
2/2早朝に開始
特に夏季に挑戦する場合は、気温が低い朝一番に活動を始めることを強くオススメします。そうでなくとも長い1日になります。早いに越したことはありません。
準備・持ち物
以下の項目は特筆してお伝えしたい準備・持ち物の情報です。それ以外に関しては天候やハイキングに適した、個人のスタイルに合わせての準備で問題ないです。
1/4たっぷりの水分
1日がかりのハイキングです。当日の天気に合わせて十分な水分を準備しましょう。コース上にある水道は、例年10月中旬〜5月頃は使用できないことを忘れずに。
2/4長時間コースの準備
早朝に開始して、万が一の夜間行動に備えてライト類があると理想的です。
またこのコースは引き返す判断が鈍りやすいです。どこにいようとその時間になったら引き返す時間を設定しましょう。
3/4十分な行動食
長時間のハイキングでたくさんのエネルギーが必要です。こまめな栄養補給をハイキングが始まる前から心がけましょう。また万が一に備えて予備の行動食も準備しましょう。
4/4日差し対策
日陰となる場所が少なくほぼ一日中、日差しにさらされます。帽子、日焼け止め、サングラス、明るい色の服装などの検討をおすすめします。
筆者コメント
最後まで読んでいただきありがとうございます。
乗り越えないといけないハードルが多く、そもそも海外での冒険に不安も少なくないと思います。順を追った解説で、少しでも負担を取り除けたのなら嬉しいです。
慣れ親しんだ日常と違い、不確定というスパイスが多い分、良い事も挑戦的な事もたくさんあると思います。それらがあなたの思い出を豊かに彩ってくれることを、心より願っております。